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公開特別講演会が開催されました

2025年10月09日食物栄養学科

 2025928日(日)に、食物栄養学科・専攻科食物栄養専攻主催の公開特別講演会が開催されました。この講演会は毎年一回、栄養学に関わる最新のトピックを取り上げて行われます。今回は、以下の二つのトピックについてご講演をいただきました。

 1つ目の演題は、災害後の栄養ケアについてです。まだ記憶に新しい2024年元旦に大地震に見舞われた能登半島で、介護医療院で管理栄養士として勤務されていた恵寿総合病院の小蔵要司先生にご講演いただきました。

大地震発生直後でも毎日の食事を欠かすことなく提供するために行った様々な工夫を具体的にお話しくださいました。例えば、水不足でトレイが洗えないため使用できず、小さなディスポの食器では一日に必要なエネルギー量を提供することが非常に困難だったというお話しや、おかずの滑り防止のために底に凹凸のあるディスポ食器は、凸凹の隙間に小さな食片が残ってしまいすくいづらいなど、現場で問題に直面したからこそわかった問題点を写真と共に説明してくださり、災害時の食事の様子をイメージしながら話を聞くことができました。

2つ目の演題は、今年度改訂版が発行された『日本人の食事摂取基準2025年版』について、改訂による変更点や活用・適応する上でのポイントを大阪公立大学の由田克士教授にご講演いただきました。食事摂取基準を策定する上での最終目標は、平均寿命を延ばすことではなく健康寿命を延ばすことだということを念頭におき、食事摂取基準の適切な活用には、ただ基準に基づいた食事を提供するのではなく、実際に対象者が食べている様子を見て、エネルギーや栄養素の摂取量が適切だったのかを評価・検証することが重要だと話されていました。また、エネルギー産生栄養素の設定値には幅があるので、この幅を上手に使って、食べ残しが少なくなるように献立を組んでいくことが肝要であり、1日にごとに評価するのではなく、概ね1ヶ月程度の幅を持ってエネルギー摂取量を評価することや、食事中に含まれる栄養素の量は食材によって大きく異なるため、特定の栄養素に振り回されないように気をつけることなど実践的な活用方法をわかりやすく解説してくださいました。

                   参加者の質問に答える小倉先生と由田先生

<学生の感想>

「災害の時の非常食といえばレトルトカレーだと思っていたのに、実際の現場で提供しようとすると困難が多く、ほとんど使えなかったというのが意外だった。」

「カップ麺じゃなくて人が作った豚汁が食べたくなるのはなんとなく共感できた」

「食事摂取基準のことは授業で学んだけど、まだまだ理解が追いついていない部分もあるので、もう一度学び直す良い機会になった」